いつかの夏

大崎善生

10年前に起きた、名古屋闇サイト殺人事件を取り上げたノンフィクション。

知らなくはない地域で起きた事件だし、被害者の女性と年齢も近くて、当時怖くなった記憶があります。
自分だった可能性もある、と思うと本当に恐ろしい。
夜遅くなった帰りは、今でも周りに注意を払って歩くようにしています。
地元の新聞やテレビで報道される、事件や裁判の経過も割と気にしていました。
先日も事件発生10年目の日に、お母様がテレビのインタビューに応じているのを見たばかりでした。

このノンフィクションは、ネットの書評を見て興味を持ちました。
被害者の女性の生い立ちやご家族の置かれた環境や思い、事件数日前からの動きなど、丹念に取材して書かれています。
それだけに、被害者やご家族の無念さを思うと涙が止まりませんでした。
一生懸命生きてきたのに、こんな見ず知らずの他人の身勝手さで命を落とすなんて…こんなことがあっていいのだろうか。

言葉に表すのが難しいのですが、いろいろ考えさせられました。
読み終えてしばらく経つのですが、まだ考え続けています。
簡単に感想を述べられる作品ではないですね。久しぶりに重いテーマの本を読みました。